そそっかしい母

「おじいちゃん、癌で入院したんだって」先日、滅多に連絡を取り合わない姉から突然電話がきた。少しばかり慌てた様子で噛みながらも、そう告げられた。フリーランスとしてバリバリに働いたおじいちゃんももういい加減いい年になっていた。しかし、電話してきたにも関わらず詳細を知らないとのこと。「保険帳はどこ?健康保険って補助はいくら出るの…」と母も慌てていた様子が電話越しにも聞こえてくる。そういう人だからだ。詳細を聞こうと母に電話をかけるも応答がない。動く手立てもないので、とりあえず帰宅した。そこで母の携帯電話を見つけたことは、言うまでもないだろう。どうやら、とりあえず姉に電話をし、僕へ伝言を頼み、バッグだけ持つと即座に祖父のもとへ向かったのだろう。連絡を待っていると、祖母から連絡がきた。病院の位置と病室を教えてもらい、すぐに家を出た。病室へ入ると祖母と母がいた。医師の姿が見えなかったが、すでに退室したのだろう。祖母から簡単な説明を聞いた。なんでも早期に発見することができ、それほど大事にすることでもないとのこと。ただ、厳密な審査をしたいから、一日だけ入院しするというだけのことのようだ。近頃の医療はすごいと感心する中、母のそそっかしさには呆れかえるばかりである。ちなみに、祖父の癌は大した広がりも見せずに、ほぼ完全消滅できたと医師から告げられた。ほぼというのは、現在の医療でも気づかずに転移されてしまうことが稀にあるからなんだそうだ。何度も術後の検査を行い、早期発見ということからも転移の可能性が大分薄れ、やっとのことで退院できた。いかに早期発見が大事なことか痛感した、祖父の話。